一人っ子の国
Amazon Primeで『一人っ子の国』を鑑賞。
監督さんは中国生まれで米国在住の方。中国の一人っ子政策(1979~2015年)の裏側を描いだドキュメンタリー。
軽い気持ちで見始めたけれども、内容は思った以上に深刻。
☆女性に対する強制中絶
一人目を産んだら強制的に中絶手術を受けさせられるとのこと。
二人目産んでる人も出てくるけど、その人たちとの違いは何なんだろう。
お金なのか、地域差なのか?
☆赤ちゃんの遺棄
これは絵的にきつかった。
産んでも捨てる。8~9か月で中絶した子も医療廃棄物として処理。
☆人身売買
捨てられた赤ちゃんを拾って施設に売る。
施設は売り手に金を支払う。(いくらか忘れた)
施設は子供を国外に養子に出して手数料をもらう。
上記で一連のビジネスが成立していた。
☆国際養子縁組
施設と行政は結託していて、不正ルートで入手した子供について事実とは異なる説明の証明書を作成。例えば強制的に両親と引き離して連れ去った子供であっても、孤児であるとして証明書を作成する。
迎える家族たちは証明書を信じて養子を迎える。実は養子にしたことで実の家族と引き離しているとは知らずに。
いろんなパターンがあるので、一概にすべての養子がそうではないが、もしも自分が養子に迎えた子にそのような背景があればつらいし受け入れるのは困難だろう。
迎えた家族は何も悪くないのに。
☆政府と政策
みんな、政策だから仕方がないと思考停止。
村のいたるところに一人っ子政策を正当化する標語あり、生々しいものもある。
そして政策終了後は突如として1家2人子供が埋めることを褒めたたえるプロパガンダ放送。
☆米国における中絶の違法性
監督はこの点にも言及している。
一人っ子政策とは正反対に思えるが、女性が自分の体のことを決められない点では同じとの指摘。
これははっとさせられる内容であった。
それにしても、自分が中国留学していた2012年頃には兄弟がいる友達は複数人いた。
なので、金を払えばオッケーなんでしょ、と思っていた。
しかしそんな簡単な問題じゃない。
強制中絶や赤ちゃんの遺棄など、闇深い問題がはびこっていたのだな。
最後のほうで、双子の姉(妹?)が強制的に連れ去られ、その姉が米国で暮らしているという女の子が、最近米国の姉とSNSでつながるようになったとの話があった。
母親のおなかの中で一緒に過ごした双子の姉妹だけど、今は遠い異国に暮らしている。
姉に中国に来なよと言った?という質問に対して、それは彼女にじっくり考えて結論を出してほしいから、何も言えないとの回答。深い。彼女もすごく傷ついて、でも現状を受け入れて強く生きているからこそ言える言葉だなと思った。
いろんな人が苦しんだ36年間とは何だったのか。
命を制限する政策なんて絶対にあってはならないことだ。